腰痛と職業

・デスクワークと腰痛と座り方

事務仕事デスクワークでは肩こりと同じくらい多くの人が腰痛に悩んでいます。

長時間同じ姿勢で座っているからです。

イスに座って机に向かう姿勢は、腰椎の椎間板内の内圧を高くします。

そして腰の前弯(生理的弯曲)が失われて、より椎間板の内圧が悪い方向からかかってしまうのです。

予防として、背中にクッションのような腰の骨にそった形のものをあてがい、生理的湾曲を維持するようにします。

皮膚にフィットすることで筋肉が休まりやすく疲れも少ないです。

位置的に湾曲が一番強くなる第三腰椎と第四腰椎のあたりに(臍よりやや低め)きっちりあてがうようにしましょう。

骨盤は引き気味で仙骨が背もたれに当るくらいがいいでしょう。

この状態ですと、歩いている時と同じような前弯が得られるので椎間板への負担も軽減されます。

座り方のポイント

①深く腰掛ける

②背筋を伸ばし、適度に腰の前弯を保つ

③股関節・膝関節・足関節は約90度くらいになるように高さを調整する

④前かがみの姿勢は腰椎に負荷がかかる(背もたれがないイス・低い机などNG)

⑤机と目の距離は30センチくらい

⑥座布団も緩い傾斜のあるものがよい

・主婦業と腰痛~中腰を避ける工夫~

お掃除・お片付け・お洗濯・お料理・洗い物に育児と家の中を隅から隅まで動き回る忙しさは腰に負担がかかりがち。

主に中腰になる姿勢が多いので、気付けば慢性腰痛やぎっくり腰になることもしばしば。

中腰にならないように、腰を曲げようとしないで、脚から曲げるように心掛けるといいです。

冷蔵庫のものを取る時や掃除機などを使う時は膝立の状態になる。

調理場や流し台での洗い物などは、5㎝から10㎝くらいの踏み台に片足を置いて疲れた足を代えてみる。

など腰を曲げるのではなく、足を曲げるように意識するとかなり楽です。

もちろん高い所のものを取る時などは、反ったり、無理な背伸びなどしないで、踏み台を使ってください。

余裕のあるところで伸びるのと、無理して伸びるのとでは全く運動効果が違い、何より無理は大けがにつながります。

・車の運転と腰痛~小刻みな動きが有効~

自動車は自分の空間を保ったまま移動ができるので、とても気楽で私自身はほとんど移動は車です。

短距離なので、それほど辛くないのですが、昔この仕事につく以前、

30歳前後で腰痛だったころは1時間も運転していると腰が辛くなってきていました。

現在では腰痛はありませんし、あることを意識してからは東京まで6時間半ノンストップでも腰が痛くなりません。

それは運転しながらでも、小刻みに動くことです。

じっとしているから腰の筋肉が硬くなり、動き始め等に疼痛を感じてしまうのです(初動作痛)。

運転しているので、大きく足を動かしたり、腰を反らしたりはできませんが、小刻みに動かすことでかなり腰は楽になります。

意識するのは骨盤です、左右の骨盤を交互に動かすイメージで揺すると足も冷えにくかったりで冷え性にも効果的です。

あと腰がシートにフィットしているかも大事です。

座席の位置・高さなど自分に最適な状態を見つけたら、腰と背もたれの間に空間があれば、

クッションやバックレストなければバスタオルなどを丸めて置いてみると楽になります。

乗り降りも手でシートを支えて手から動くようにしてみましょう。

その他の注意事項

①シートの角度は120度くらい

②硬めの背もたれ

③座面もやわらかすぎない

④ハンドルは軽く肘が曲がるくらいの位置

・妊婦と腰痛

妊婦の腰痛は、おなかが前に突き出して重心が前に移動し、腰に負担がかかるため起こります。

体重の増加、腰椎の圧迫、骨盤の広がり歪みなどが徐々に進行していくのである程度は身体が慣れていくのですが、

初産の時など初めての経験ばかりで不安などあったり、二人目でも育児しながらの妊活も精神的にも体力的にも大変です。

ですので、周りがいたわるようにすることが妊婦さんにとってもとても勇気づけられ、気持ちも休まります。

体型的な変化以外に、妊娠中は各種のホルモンの代謝が活発になります。

その中に「リラキシン」とう黄体ホルモンがあり、これは妊娠中絶えず分泌され続けてます。

リラキシンはコラーゲン組織である靭帯を弛緩させる働きがあるので、

骨盤の関節である仙腸関節や恥骨結合の靭帯も緩ませようとするので、

腰やお尻あたりに痛みが出ることがあります。

リラキシンは心身第40週ごろから大量に出始めて、産道を確保する縦に骨盤を緩めます。

私ごとではありますが、妻は一人目の長男の出産の際に切迫早産で安静を強いられました。

それほど腰痛もなく、無事出産できました。

次男はすでに産道ができているため長男の時以上に切迫早産でした。

妊娠6か月くらいには、もう入院するしかなくなり、

枚方市の関西医大病院では2か月半病院のベッドで寝たきりの生活でした。

24時間ウメテリンの点滴を投与しづつけるので、妻の腕は注射針で膨れ上がり、刺すところがなくなるくらいになりました。

クリスマスもお正月もその年はずっと妻一人で夜をすごし、

私は仕事、長男は居残り保育とおばあちゃんに見てもらいつつ、

家族が分されて過ごすこととなり、皆それぞれに大変寂しい時期だったかもしれません。

そして、年が明けて、一週間過ぎた頃点滴をはずしてすぐに、次男が誕生しました。

もちろん立ち会いました。

産れて直ぐの次男は仮死状態ですぐにスタッフが人工呼吸処置をしてくれて、無事元気な産声をあげてくれました。

一人目とは違う感動があり、やっとまた家族一緒に夜を過ごせるとうれし泣きしていました。

産後と腰痛につづく。

・産後と腰痛~産後の骨盤矯正~

当然産後は骨盤が広がります。

広がるのは坐骨結節というところの幅が広がり、恥骨結合の部分も介達的に引き裂かれる力がかかります。

これにより、骨盤の底にある骨盤底筋肉群が伸ばされてしまい筋肉が収縮しにくくなり、

尿漏れや生理不順・生理痛など骨盤内臓器の機能が衰えてくることがあります。

筋力をつけるにも、産後は激しい運動は避けるべきですし、歪んだ骨盤のままの運動は、より歪みを助長してしまいます。

まずゆがみを正して、動きやすく、骨盤内臓器の環境を整えた状態で体操やストレッチをしましょう。

当院では骨盤を整えるだけでなく、筋肉状態を元に戻すまでサポートしていきます。

私ごとの続き:次男が生まれて2週間は嫁は経過良好でした。

ですが、2か月半も寝た切りでしたので、歩けないのです。

歩けないというより2本の足で立てません。

退院まで歩行器でなんとか過ごしていました。

当然腰にも負担がかかり、腰から下は筋肉痛と浮腫で苦しみました。

産後ゆえにあまり無理なマッサージなどできません。

そもそも筋肉が衰えているのですから、運動して筋力をつけるしかありません。

揉むというよりもこういう時は循環を良くしていくことを意識して擦るようにそして微振動で身体を楽にしていきます。
(ご希望の方はお知らせ下さい)

これにより筋力の回復も浮腫の軽減も早まっていきました。

いまでは何もだれも腰に痛いを訴える人はいませんが、

あの時思い出すと家族が増えた喜び以外にも、妻の体力回復を願い、周りへ感謝深めたのでした。

またこういう人の身体について良くしたりするのを考えるお仕事をしていてよかったなと思いました。

・スポーツと腰痛~多いのは捻り痛と反らし痛~

スポーツ障害はそれこそ選手の数だけあるといっていいくらい無数にあります。

同じ腰痛でも微妙に違っていたりで、複雑です。

突発的な怪我はありすぎるので、代表的な腰痛として、2種類お話ししたいと思います。

①捻ると痛い腰痛

日常生活の動きとスポーツ動作との違いに「ねじる」のがあります。

人間は強い力を出そうすると回転運動を利用します。

普段はそんなに思いっきり動くことはありませんから、腰椎椎間関節はねじられることはあまりないです。

ですが、スポーツの場合は筋力の最大出力を要求される場面が多いで、ねじる力が必要となってきます。

例えばほうきで掃く動作ではそんなにねじりませんが、

ゴルフでドライバーをスイングするときや野球でバットを振るという動作は腰の捻りだけでもそうとうな回転を要します。

歩くと走るとでは、手と足の振り巾が倍以上違うので、

右手が一番前時に左脚が一番後ろにあり、右上半身と左下半身が反対方向を向いているので、

歩行時にはあり得ない位に骨盤から腰椎にかけてねじれがきつくなります。

このねじれによる痛みの治療は腰だけの問題でなく、骨盤や肋骨も深く関係していきます。

②後ろにそらすと痛い腰痛

ジャンプ系のスポーツに多いのですが、のけぞる動作は高さを出すために必要です。

腰を丸めたままジャンプしても高く飛べません。

ただ飛ぶだけでなく、最高地点でバレーボールならスパイクしたりテニスならサーブしたりバスケットボールならシュートしたり繰り返します。

よりつよいボール・より遠くに飛ばすようにトレーニングしていくと腰の骨の後ろに圧がかかり、

腰椎の椎弓という部分が折れてしまうことがしばしばあります。

この状態がレントゲン撮影でわかるとスコッチテリアの首輪といい、腰椎分離症と診断されます。

腰の骨が折れるのですから、相当痛いたい感じですが、痛いながらもプレーができたりするのです。

腰椎分離症が進むと腰椎の上下の位置が離れていって腰椎すべり症となります。

これでもプレーしている人はいますが、ここまで行くと当然回復が遅くなってきます。

分離症すべり症ともに離れた椎弓の分を脊柱起立筋という筋肉がカバーするので、

筋肉への負担が腰痛を引き起こし、筋肉自体も硬くなってしまうので、治りが遅くなるのです。

残念ながら折れた椎弓は自然にはくっ付きませんが、ある程度炎症が治まってから筋肉をほぐして、

腰椎を元の状態へ近づけてあげると楽になります。

農家・畜産業者と腰痛

大阪では少ないですが、農業や畜産業に携わる人は慢性的に腰痛の方が多いです。

(寝屋川市に牛を飼っているところが私の子供の頃ありました。母方の実家である守口市の祖父母宅は牛を飼っていて逃げたら村のみんなで探しに行ったそうです)

基本的にエサやりや苗植え、田植え、耕すなど前傾姿勢が長時間続くので後ろの筋肉が突っ張った状態になり、

高齢になってくると腰が曲がり切ってしまいます(腰椎後弯症)。

ないより生き物相手ですので、休みがないです。

私の祖母も木の芽を摘む仕事をずっと続けていたので、かなり腰が丸くなっていました。

時折膝に手を付いて歩ているのを見て、孫の私が腰をさするととても嬉しそうに「ありがとうよ」を笑顔で応えてくれたのが忘れられません。

子供の手は柔らかく触れるだけで気持ちいいものです。

そして孫は可愛いものなので、より心地よかったのでしょう。

あなたに農家畜産業者の祖父母がいるのなら是非柔らかい手でさすってみてあげて下さい。

その手は技術よりも、もっと大事な気持ちがこもっているのできっと、笑顔が生まれると思います。

・重労働・寒冷地作業と腰痛~身体の使い方・温め方~

重いものを持ったり運んだりする人は当然腰に負担がかかります。

建設現場での資材運搬、長距離トラックでの荷物の積み下ろし、

引っ越し作業、宅配便、酒屋さん、介護など10キロ以上の重いものを持ち上げる時は、

腰に注意しながら動かしましょう。

まずは、荷物に身体を近づけましょう。

次に片膝をついて前屈みにならないように腰を落とします。

膝の付いた側の足先は外がわやや斜めに向ける。

荷物は小指薬指中指で持ち人差し指と親指は広げるのがいいです。

腹筋背筋を締めて臍下三寸丹田に意識を向けて踵で蹴るように持ち上げると軽く上がります。

持ち上げてからも荷物は身体に密着して運びます。

これらは最近注目されている古武術の動きを利用した力の使い方です。

関西・大阪は凍るような寒さはないかもしれませんが、

コンクリートの倉庫やマンション建築の高層階になると室内・平地と比べて相当冷たいので、血流が悪くに筋肉が固まりやすいです。

使い捨てカイロが効果的です。

貼る場所は腰だけでなく、背中第6胸椎あたりとおへそあたり、3つくらい腰痛の人は貼るといいです。

・医療従事者(看護師ナース・クラーク・歯科衛生士)・介護ヘルパーの腰痛~意外に腰痛が多い職場~

高齢者や寝たきりの患者さん、絶対安静のクライアント、妊婦、生後間もない赤ちゃん病院や介護施設で過ごす人たちの方は、

自分で起き上がったり着替えなどができないことがあります。

そういった人たちのケアはかなり力が必要で腰の負担もかなりのものです。

その為、看護師をはじめ医療従事者・介護職員の人たちは腰痛が多いです。(私の整体師の仲間も自分の身体は後回しで、結構腰痛持ちの先生が多いです。)

仕事の姿勢が中腰だったり捻った状態だったり、慎重に触る為緊張する場面もあったりと、

同じ重さのものでも、荷物と人の身体は取り扱いに神経の使い方が違ってきて当然です。

さらにやさしく対応しているつもりでも、相手に痛い思いをさせてしまったり、

不規則な時間勤務で身体の調子が回復していきにくかったりと、ストレスなども大きく関係してきます。

当院にもナースのお仕事をされている方もたくさん来られていて、「勤め先では診てもらいにくい」とこぼされていたりもしています。
(もし診てもらって治らなかった場合気まずくなるでしょうね)

患者さんや利用者さんがいるまであからさまに屈伸運動や伸脚などはできないので、

トイレに行ったときは思い切りストレッチしてみるのもいいでしょう。

基本的に中腰の体勢が多いと思われますので、一旦腰を反らしてから曲げるようなストレッチが良いでしょう。

あとは足を曲げて手を膝に置いて肩を交互にいれる運動なども効果的です。

・体型と腰痛~太った人・背の高い人・痩せてる人~

肥満の人が腰痛になる理由が、体重が重たいからが一番ですが、

お腹が出ている分腰椎の前弯が強くなって、普通に立っているだけでも反った状態です。

腹筋群も伸びきったような状態なので締まりにくいというのもあります。

まずは減量の為の運動療法やダイエットをしていきましょう。

背の高い人も腰痛になりやすいです。

背が高いと下にあるものを取る動作でもついつい腰を曲げてしまったり、

高さを気にするために前屈みになりやすいです。

少し前屈みなるだけでも角度がついて重力も高くなります。骨や筋肉を縮めないように極力ストレッチなどで伸ばしましょう。

痩せている人の腰痛は筋力不足と血行が悪いことが挙げられます。

力を入れようにも筋肉が細いと入りません。

また寒がりな場合が多いのは、細い分血管が外気温に影響を受けやすく血流が悪くなりやすいです。

やはり運動をしっかりして、栄養価の高い食べ物を取って筋肉をつけましょう。

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